日語閱讀:あの空の向こうに/

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そう思った瞬間、激しい閃光が辺りを満たしたかと思うと、それが一箇所に集まり、人の形に
    なっていく。
    元気は、心臓が止まりそうなくらいに驚きながらも、その行方を見ていた。
    そして、目の前には、肌が白い(というか、光って見えるのだが)、黒く透き通ったローブを著て
    いる、男とも女ともつかぬような人物が立っていた。
    元気が、感じていた事は、本當だったのだ。
    確かに、天使とも悪魔とも言い難い容姿であるし、肌が白く、服が黒いから「白いようで黒い」
    というのも當てはまる。
    「光のようで固體」というのは、現(xiàn)れた時の瞬間は光だったのに、今は固體である。
    しかし、「懐かしい」というのは、この人物に全く心當たりもなかった。
    「あなたは????」
    元気は、勇気を振り絞って言葉に表した。
    「人間の物差しで計れる者ではないとだけ言っておこう。」
    目の前の人物は、表情一つ変えずに言った。
    「私は、今までずっと、そなたを見てきた。そして、そなたは私を求め、探していた―そうだろう?」
    「うん!知りたい事がたくさんあるんだっ!君は、あの空の向こうから來たんでしょ?」
    元気は、全ての答えを教えてくれると思った。
    「そうとも言える?!?BR>    「僕の事を知っているのなら、僕の考えていた事も分かるってことでしょう?」
    「その疑問に答えよと言うのだろう?」
    「うん!」
    「前に言ったように、人間の物差しで計れるものではない。私のことも、そなたの抱く、
    地球に関する疑問の數(shù)々も。」
    その人物は、空の彼方を見るかのように元気の目を見つめた。
    「まず、そなた達人間の住む世界ではなく、我々の住む世界には、空も雲も光も闇も時も存在
    しない?!?BR>    「時が????」
    「そうだ。そこにあるのは「無」。何も感じる事の無いただの「無」。つまり、そなたが知ろうとして
    いる事は、そなた達人間の間のものでしかない。我々にとっては、全く無意味な事なのだ?!?BR>    その人物は、真剣な目になった。
    「そなたは、そのうち光を得る。その時が來るまで待つが良い?!?BR>    その人物は、仄かに光を放ち始めた。
    「ま、待って!また???會える?」
    「様子見に來るかも知れぬ?!?BR>    「じゃあ、何て呼べばいい?」
    「名を聞くと?」
    元気は、ニッコリ笑った。今まで忘れていた笑顔だ。
    「名は無いが???」
    その人物は、少し考えて、
    「「ケーディー」とでも名乗っておこう。名は、不必要なのでな?!?BR>    と言うと、現(xiàn)れる時と同じ閃光を放って消えた。
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    元気は、ケーディーの言っていた事を何度も呟いた。
    たしかに、その通りだ。ケーディーの世界には、何も無いのだから、元気が考えている疑問は答え
    られないし、そういう概念もない。
    人間の世界の中だけで成立する事なのだ。
    しかし、元気は納得がいかなかった。
    人間世界のことについて全く知っていないのだろうか?
    いや、答えは知っているけれど、それを教えるわけにはいかなかったのかもしれない。
    それとも、時間がなかったのか。
    いや、時間の概念がないのだから、それはない。
    元気は、ケーディーが最後に言った、「光を得る」とは何なのか、分からなかった。
    しかし、「光」とは、希望や夢や未來の象徴でもある。
    ―それを僕が得られると言うの?―
    元気は、日が暮れ、母親が呼びに來るまで、布団の中で靜かに考えていた。
    次の日、また、同じように元気は目覚め、同じように空を見上げた。
    いや、違う。ケーディーを探すために眺めているのだから、同じではないかもしれない。
    元気は心の中で、ケーディーを呼んだ。
    すると、昨日と同じように激しい閃光の中、ケーディーが現(xiàn)れた。
    「來てくれたんだね!」
    ケーディーは、困ったような表情を一瞬見せてから、
    「何か用があって呼んだのだろうな?」
    と呆れたように言った。
    「うん!僕の質問にちゃんと答えて欲しいんだ?!?BR>    「昨日の答えがちゃんとした答えだ?!?BR>    「でも???」
    元気は、答えてくれると信じていたわけではなかったが、落膽の色は隠せない。
    「納得いかないと?」
    元気は、大きく頷いた。
    「では、自分の目で確かめれば良いではないか。それが最も合理的で単純な方法であると、
    私は思うのだが?」
    ケーディーの言う事は、最もだったが、それは自分に自由に歩き回れる體と足があって、成り立つ
    ものなのだ。
    それを分かっていて、放たれたケーディーの言葉は、元気にとって、一瞥するかのように鋭かった。
    「???無理だよ、そんなの???。」
    元気は、重い口を開いて言った。